昭和の重力に魂を引かれた漢

小説の感想文、たまぁ~~に雑記

絶対に中山道行きたくなります『一路』

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浅田次郎

 

いやぁ~面白かった!流石ベストセラー作家、浅田先生。グイグイ読ませます。
要は参勤交代の話ね。
参勤交代の一切合財を差配するお役目だった父親が急死した為、その息子が御家の存亡を賭けて後を引き継ぐっつーね。
なんせ急死なもんだから、何の引継ぎもしないままブッツケ本番。
さらに、そこへ主家の跡目争いを交えた謀反騒動が絡んでくると。

ロードムービー風?
兎に角、行く先々、宿場宿場でイベントテンコ盛り状態。
長編っつーか、宿場毎の短編連作っつー雰囲気。
次から次に大騒動が勃発。
崖崩れの綱渡りあり、猛吹雪の峠越えあり、暗殺者との立ち回りあり、時代モノ特有のホロッと泣かせる人情話ありと飽きさせません。

俺の一番のお気に入りは、加賀百万石「乙姫」さまの初恋の話ね。
普段恋愛モノには全く食指が動かない俺が、柄にもなくウルッときちゃったぜ。

切ねえぇぇぇーーー

大大名家の姫として何不自由なく蝶よ花よと育てられたものの、本当の恋愛も経験しないまま家格や身分で伴侶が決められてしまう。
何が自由で何が不自由なんでしょうね?


舞台が幕末なんで、無理矢理歴史ネタを捩じ込んでくるかなぁ~と気がかりだったけど、徹頭徹尾「参勤交代」一本槍で非常に明快。

そう、幕末なんです。
作中、登場人物たちが必死に守ろうとした参勤交代という仕来りも、侍の誇りも、幕府さえも。
さらに言えば、己の人生を縛り付けてきた身分制度も。
後数年でみんな吹っ飛んじゃうだよね、、、
損なこととは露知らず、今を懸命に生きようとするキャラクターたちが堪らなく愛おしい。

参勤交代のことなど何も分からない主人公「小野寺一路」
だけどピンチの時には絶妙なタイミングで周りの誰かが助けてくれる。
いつもなら御都合主義と切って捨てる展開なんだが、一生懸命にお役目を果たそうとする「小野寺一路」を応援モードで読んじゃってるからコチトラ。
御都合主義全開なのに、このトラブルがサクサク解決される様が何とも小気味好い。

あとお殿様ね。
西美濃田名部郡七千五百石「蒔坂左京大夫
何ちゅう魅力的なキャラクター。
まさかッ!! ○○○を漏らしそうになるとはw
結局全部持ってくかんね。
何ちゅうおいしいキャラクター。
もし映像化なら、主役よりこの役演りたがる俳優が多いんじゃない?

(ちなみにこの感想文は、2015年02月に書かれたものですが、その後制作されたドラマ版では渡辺大さんが演じてるみたいです)

っつーわけで、表紙に御注目。
お殿様初め、魅力的なキャラが決め台詞と共に全登場。
読後に表紙を眺めるだけで、その場面場面が思い出されて二度楽しめるっつー粋な趣向。
オイッ!俺の一押しの「乙姫」さまが、題字とカブって御尊顔が拝めねぇじゃねぇーか(哀)
→公式サイトで見れました♪

さて最後に本作を読了後、誰もが感じたであろう一言で締めさせていただこう。


中山道旅してみたくなった!
★★★★☆