昭和の重力に魂を引かれた漢

小説の感想文、たまぁ~~に雑記

サクッと読了『太陽の村』

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朱川湊人

 

家族で行ったハワイ旅行の帰り、飛行機が墜落!
主人公「坂木(さか“き”)龍馬は、九死に一生を得て海辺の村に漂着する。
しかし何とそこは、鎌倉時代?の村だったッ!?

面白そう!と書架から取り出し、何か違うなぁと戻す。
やっぱ借りよ→やめとこ。
チラッチラッ何か凄ぇ気になる、どんな村なんだよ?、、、でもなぁハズレの匂いがプンプンすんだよなぁ~表紙が、ねぇ。
と、出す戻すを三回は繰り返し結局借りることに。

当たり。

いやぁ~面白かった。文章が若い若い。
主人公は引きこもり半ニートのオタクなんで、随所に漫画・アニメ・特撮・ゲームの小ネタがてんこ盛り。
合わない人はココで切っちゃうんだろうが、俺は基本コッチ寄りなんで。
読みやすさの反面、小説に対して文学の品や格みたいなモンを求めてる節もないこたぁないんだけど。
まぁ、面白ければ良しなのだ。
兎に角若い、軽い、ペラい。ライトノベルどころか、読書好きの高校生が初めて物語書いてみましたみたいなノリ。
まぁ、面白ければ良しなのだ。
折角なんで、ちょっと書き出してみるか。

>結局俺は五メートル走っては十メートル歩く、いわゆる『デブ式アクセント走法』を駆使し、

>三度の飯よりも好きなキャラメルコーンの袋だった。おそらく人類が発明した中で、もっともうまいジャンク・フード

>「さぁせん!」俺は体育会系のノリで答えて、

デブでニートでオタク。二十四歳にもなってまともな職にも就かず、ひたすら部屋に引きこもりゲームとネットの日々。
いわゆるダメ人間ですな。そんなヤツを電気もガスもましてやキャラメルコーンもない鎌倉時代?の村に放り込んだら、一体どーなるのか?
ホントに鎌倉時代?マジでタイムスリップ?
この謎と、件の若くて軽くてペラい文章でグイグイ読ませる。

人間って何が幸せなんでしょう?
衣食住、全てが満ち足りた現代日本なのに、皆浮かない顔をしているのは何故?
オイオイ、このままおバカ街道爆進して終わっちゃうのと心配したが、最後はちゃんと考えさせてくれます。

さてさて我らが主人公、デブオタ坂木龍馬の運命や如何に?
いや、予想してたっちゃしてたけど。マジでッ!?ホントにその手で来るんだっつー荒唐無稽かつちょっぴり恐ろしい大オチは、是非読者諸賢にも一緒に考えていただきたい。


サバンナのシマウマと動物園のシマウマ、どっちが幸せなんだろう
★★★★☆