起、承、超転開、結『消滅 VANISHING POINT』
恩田陸著
大嵐で封鎖された空港。
何故か別室に隔離された男女十一人。
この中にテロリストが紛れ込んでるらしい?
疑心暗鬼の中、犯人捜しが始まる、、、
正直序盤はやや退屈です。
核心に近づかないまま、ダラダラとどうでもいい話が続く。
主要キャラが11人もいるので、各キャラのエピソードだけでもてんこ盛り。
それぞれに特徴付けてキャラ分けしてるものの(ガラガラ声の女・日焼け男・鳥の巣頭など)、のっけから吐き出された膨大な情報量に早くもバースト状態。
兎に角、本筋と関係ない蘊蓄多過ぎ。
これがず~っと続くのかと嫌気が差し始めたところで、“ヤツ”登場。
中盤からとんでもないキャラが登場します。いやぁ~“ヤツ”が現われなかったらヤバかったね。
こっから一気にテロリスト捜しが本格化して、やっとこ面白くなってきます。
しかし、それでも、尚、話は中々進まず、、、
本の内容は全く知らなくても、こと読書に於いては、完全開示情報ってあるじゃないですか。
厚さね、本の厚さ。
本作の場合は全523ページ。読書進行中、話の進み具合から残りページ数を鑑みるに、もうそろそろってのがあるわけですよ。
400ページ台後半に至って未だ「転」あらず。
起・承・承・承・ときて、、、オイオイ、もう後こんだけしか残ってないぞと。
嗚呼、ぶん投げかぁ~とガッカリ。
謎を未解決のままにしておいて、何かよく解んなかったけど、心にいつまでも波紋が広がるみたいな余韻を残す感じ狙ってんでしょ?みたいな。
ハイハイあるあると惰性モードに入った終盤も終盤、いきなりの急転直下ッ!
いやぁ~~参った。
拡げに拡げた風呂敷、完全収納。伏線オール回収。
お見事ッ!
THE大団円♪俺も大満足。
最後あるキャラが、現代社会がこれから進んでいく未来に対して、皆が漠然と抱いている不満や不安を払拭する大演説をぶつんですが、これが素晴らしい。
フィクションの中だけの理想論と一笑に付す読者も多かろうが、俺は大いに溜飲が下がったね。
よくぞ言ってくれたッ!って感じ。
こんな評価大逆転読書体験初めてかも。今まで四つ星付けてきた作品は、大体一ページ一行目から面白いからね。
では、最後にお小言を少々。
恩田先生は、世の中のあらゆる事柄に対しアンテナを張り巡らしてらっしゃるようで(科学知識やサブカルチャーなど広範かつそれぞれが中々に深い)、小説のネタ収集に余念がない感じが作品から伝わってきて、そのことに関しては非常に好意的なのですが、、、そのぉ~何と申しましょうか、、、造語センスが致命的にダサい。
暴露サイト 「ゴートゥヘルリークス」
乗り鉄の飛行機版 「乗りヒコ」
中央線沿線アイドル 「COS11」
う~~ん、如何なものか、俺だけ?
あと、タイトル合って無くね?
ちょっとねハイ、絶賛が恥ずかしくて最後腐しちゃいました。御無礼は平に、、、
恩田作品読了六作目にして遂に
(他五作品の感想も機会があればアップしていきたいと思います)
★★★★☆