昭和の重力に魂を引かれた漢

小説の感想文、たまぁ~~に雑記

まさにVR登楼『吉原手引草』

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松井今朝子

 

困った時の歴史モノ。
っつっても、毎度戦国・WWⅡの血生臭い系ばかりでは芸が無いというわけで、今回は遊郭モノ。

吉原№1花魁「葛城」謎の失踪事件。

全編関係者へのインタビュー、台詞のみ。状況描写皆無。
いや~~江戸弁最高。もうね、チャキチャキのノリノリ。
思わず音読したくなるくらい、まさに、「声に出して読みたい日本語」状態w
あと廓詞「ありんす」ね、マジで必要以上にエロい参った。

こんな台詞の洪水で畳掛けられたら、そう!もうまるで自分が実際に吉原で聴き込みしてるみたい。

そしてその台詞に絶妙に練り込まれる、吉原の習慣・掟、遊郭内の職種解説、遊女が客を繋ぎ止めるテクニック、江戸時代の恋愛事情等々、知的好奇心も存分に満たしてくれる。
まさに「吉原手引草」、もし今タイムスリップしても大丈夫。この本さえあれば、すぐにでも登楼できそう?

肝心の話も読ませる。
何故「葛城」は失踪したのか? そもそもこの件を調べている主人公?は誰なのか?
この二つの謎でグイグイ引っ張る。
結末まさかの二度読み。(ベタっちゃベタだけどね)
遊郭モノ」、新金脈発見。


さあ、得意の一言云わせてもらおうか
せ~の!ドラマ化熱望ッッ
★★★★☆