昭和の重力に魂を引かれた漢

小説の感想文、たまぁ~~に雑記

コレ畳めんの?超特大風呂敷『ねじの回転』

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恩田陸

 

デカイ。デカ過ぎる。
畳むどころか拡げるのも一苦労の、大風呂敷。

 

未来の国連によって執行される歴史の再確定作業。

それに付き合わされることになった「二・二六事件」の首謀者たち。

従来通りに歴史を確定させたい国連職員と、何としても昭和維新貫徹の青年将校たち。

互いの思惑は絡み合い物語は加速していく、、、

 

あらすじだけで、どんぶり飯三杯はイケそうなんですけど。
膨大な情報量が洪水の様に読者を襲う。
皆さん処理しきれてるんでしょうか?
俺は少々オーバーヒート気味。

兎に角次から次に事件がおきるんで。
一つのトラブルが解決する前に次のトラブルと、、、
読中何度「ちょっと待って」と叫んだことか。

タイムトラベルものの王道、歴史改竄に対する葛藤。
人類の幸せの為には、過去を変えることも厭わないのか?
それとも、、、
歴史は、絶対不可侵の神の領域なのか?

二・二六事件」の首謀者たちと国連職員との確執は勿論、それぞれのキャラクター達も歴史改竄に対してあらゆる思惑を孕む。

正しい歴史とは何か?日本の命運は?人類の本当の幸福とは?

各キャラの軸と伏線が複雑に絡み合い大混線。
この手のアイディアは誰でも考え付くだろうが、物語を破綻しない様、整合性を持って組み上げるのは相当根気のいる作業だったのではないか。
執筆中の机の周りに、資料やメモの付箋がベタベタ貼られてるイメージ。

それでいて収まるところに収まる、安心の読後感。
この大風呂敷、ちゃんと畳めるんだ(感心感心)
恩田先生は今作で三冊目だが(他作品の感想もおいおいアップ予定)、本ブログに於いてそれほど星を獲ってる作家さんではない。
でも何故か、読ませるんだよねぇ~~
今作も「二・二六事件」の歴史モノとしても、タイムトラベルのSFとしても、抜群の面白さかと問われると、、、正直返答に窮する。
しかし、読ませるだけの何かは確実にある。

恩田先生、これからも宜しくお願いします!


俺だったら本能寺に飛んで信長助けるね
★★★☆☆