昭和の重力に魂を引かれた漢

小説の感想文、たまぁ~~に雑記

2020-05-01から1ヶ月間の記事一覧

絶対に中山道行きたくなります『一路』

浅田次郎著 いやぁ~面白かった!流石ベストセラー作家、浅田先生。グイグイ読ませます。要は参勤交代の話ね。参勤交代の一切合財を差配するお役目だった父親が急死した為、その息子が御家の存亡を賭けて後を引き継ぐっつーね。なんせ急死なもんだから、何の…

関西トラウマ『罪の声』

塩田武士著 「グリコ・森永事件」を題材としたミステリー。未解決事件なので話の核心は創作とはいえ、とてもフィクションとは思えないリアリティ。事件当時、私小学六年生、あの「キツネ目の男」の似顔絵と、関西弁の脅迫文は強烈に印象に残ってます。正直俺…

オッサン向けラノベ『深海の人魚』

森村誠一著 政財界の大物たちが夜な夜な集う渋谷の高級クラブ「ステンドグラス」 噂ではこの店には、超VIPのみが体験出来る“特殊接待"というものがあるらしいのだが、、、 官能小説?初挑戦。いやぁ~~、始業前の朝に会社で読むもんじゃないねw日刊ゲンダイ…

大著『第二次世界大戦 影の主役―勝利を実現した革新者たち』

ポール・ケネディ著/伏見威蕃訳 膨大な情報量と緻密な分析に圧倒される。二次大戦における連合軍の勝因といえば、「圧倒的物量」・「先進の科学技術力」・「情報戦での大勝」などが真っ先に思い浮かぶが、本書ではさらに突っ込んで、最終的な勝利へ向け何が…

文章の脳内映像変換率が凄い『土漠の花』

月村了衛著 ソマリア国境付近で墜落したヘリの救助活動任務に就く陸自の精鋭、第一空挺団。 その宿営地に、部族間抗争のカギを握る女性「アスキラ」が助けを求めてくる。 否応なく抗争に巻き込まれていく第一空挺団の隊員たち。 自分の命を守るためには、こ…

警察小説の変化球『盗まれた顔』

羽田圭介著 羽田先生、第153回芥川賞受賞おめでとうございます(この感想文は2015年09月にl書かれたものです)。っつーわけで、初対戦。まだ二十代だって、若ぇ。基本的に若い作家さんは、あんまイカねぇんだけど。どんなんかな~ 警視庁捜査共助課「見当たり…

活字最恐キャラ「木崎」『掏摸(スリ)』

中村文則著 裏社会を牛耳る謎の男「木崎」から、仕事を請け負ってしまった天才スリ師の運命。 『アメトーーク!』の「読書芸人」とかでも取り上げられてたし、読書家の友人のススメもあって中村先生と初対決。前から気にはなってたんですよ。華麗な受賞歴と…

続・断じて反安部に非ず『冬を待つ城』

安部龍太郎著 予告通り連荘で安部先生です。 小説のジャンルの中でも歴史モノが好きで、それこそ過去何十冊と読んできましたが。 これほどまでに一方的な善悪二元論、偏向・肩入れ・依怙贔屓を見たことがない。 「豊臣ファン達は不満よな。旅団長 動きます。…

反安部に非ず『レオン氏郷』

安部龍太郎著 蒲生氏郷ですね、御存知?ホレ、あのぉ~、もみあげが“シャキーン”ってなってる人。 正直俺もあんまり詳しくないんです。本能寺のときお父さんが安土城守ってたってことと、秀吉が関東の家康を北から牽制するために会津に大封したってことぐら…

圧倒的異次元の読書体験『プロローグ』

円城塔著 まだあるか。 いやもう無いと思ってたけど、まだあるか。 俺も三百冊近く小説を読んできて、大凡話の進行パターンは既に経験済みだと。 スイマセン自惚れてました。 まさか、こんな作品がまだあるとはッ!! 何じゃコリャ!?こんなの今まで読んだ…

いきなりフルスロットル『ダークゾーン』

貴志祐介著 ジェットコースターって二種類あんでしょ。カタンカタンカタンつって徐々に登っていって頂上からギャーーってなるタイプと、いきなり急発進するヤツ。ドラッグレースみたいな。ま・さ・に後者。プロローグ一切無し、1ページ目から殺し合いの只中…

絶対にオススメしたくないオススメ『溝鼠』

新堂冬樹著 復讐代行屋・幸福企画を運営する鷹場英一。 金のため、自らの快楽のため、今日も他人の人生をブチ壊す。 夜の街に蠢く「溝鼠」たちの狂躁。 黒新堂節炸裂ッ!! いや~~参った、とんでもねぇっス。 人間のクズ、社会のダニ、鬼畜、ド悪党、街の…

まさかのラスト『左近』

火坂雅志著 「治部少に過ぎたるものが二つあり 島の左近と佐和山の城」 明智光秀と石田三成、俺の好きな戦国武将。その光秀を見捨て、そして三成に忠義を貫いた漢、ハイ、左近こと島清興ですね。正直、関ヶ原での活躍ぐらいしか知らなかったので、これを機に…

皆知ってるけど、実は知らない『西遊記』

平岩弓枝著 皆さん御存知「西遊記」です。そう!皆知ってんだけど、ポイントポイント押さえてるだけで、全体フンワリでしょ?そーいえば俺も、かの有名ドラマ観ただけで、細部どーなってるか全然知らねぇわってことで。こりゃ良い機会だから、ガッツリ読んで…

感想文書いてる場合じゃねえぇぇぇーーッ!!

www.youtube.com TiKTok からの転載? タイ人の女の子が、キレキレッの「ジョジョ」キャラのポージング、所謂「ジョジョ立ち」カマしてんだけど、これがマジで決まってんのよ。 まあちょっと動画御覧下さい。 日々乱発される「ジョジョミーム」の中でも出色…

しみじみとホッコリ『ペンギン・ハイウェイ』

森見登美彦著 忘れた頃にやってくるこの無いパターン。 「面白くないけど好き」 逆パターンはそれこそ何冊も出会ってきた。「メチャメチャ面白いけど好きになれない」作品たち。例えば、湊かなえ先生の『告白』なんかもろこのパターン。メチャメチャ面白かっ…

ド長文『太平洋の試練 真珠湾からミッドウェイまで』

イアン・トール著 村上和久訳 著者入魂の太平洋海戦録三部作第一弾。書店で平積みされているときから気には留めていたのだが、中々読む機会に恵まれず後回しにするうち、二作目の「ガダルカナルからサイパン陥落まで」が刊行されるに至り、 ryodanchoo.haten…

戦国闘病記『白頭の人』

富樫倫太郎著 「大谷吉継」 知ってる人は皆大好き、知らない人は何にも知らない。俺は勿論大好き。本作読んで更に好きになったね。簡単に言うと、豊臣秀吉の家来で石田三成の親友、「関ヶ原の戦い」で一番活躍した人です。あの秀吉をして、百万の兵を指揮さ…

まんまドラマ『戦場のコックたち』

深緑野分著 「バンド・オブ・ブラザース」そのまんまッ!! どちらも「米陸軍第101空挺師団 」を題材に採っているので当然と言えば当然なのだが、それでもカブり過ぎ。ノルマンディー~マーケットガーデン~バルジ~ユダヤ人強制収容所の解放と、読書中もBOB…

凄まじい暴力描写『ブラック・ドッグ』

葉真中顕著 ここ最近一番ハマってる作家さん、葉真中作品は以後続々登場予定です。 全ての動物は平等である。「種差別」の克服を標榜する超過激動物愛護団体「DOG」 悪徳ペット業者が主催するペット即売会会場を封鎖した彼らは、そこに十二匹の“魔獣”を解…

西部劇✕土方歳三『果てしなき追跡』

逢坂剛著 「あのッ 土方歳三をッ 西部劇にブチ込むッッ」 ↑このコンセプトだけで、丼飯三杯はイケるんですけど。 どこぞのオープンワールドゲームみたいじゃね、いやぁ~逢坂先生、金脈掘り当てましたね。 箱館戦争で重傷を負った土方歳三、新政府の追っ手を…

麒麟がきた後の話『賤ケ嶽』

岡田秀文著 「賤ヶ岳の七本槍」つって、福島正則・加藤清正・加藤嘉明・片桐且元・脇坂安治、、、う~~ん、後二人出てこねぇでお馴染みの。 お馴染みじゃない?マジで?戦国興味ない人ゴメンナサイ。ハイ取り敢えずキーワード検索 ↓ 「賤ヶ岳の戦い」 「賤…

ハンバーガー超美味そう♪『ダイナー』

平山夢明著 凄腕の料理人と厳選された食材で評判のダイナー。 しかしそこは、、、客が全て殺し屋の店だった。 人生を転がり続け、遂にはダイナーで女給をすることになってしまったオオバカナコ。 皿の置き方一つで首が飛ぶ(解雇ではなく文字通り死ぬことにな…

ラスト号泣『日輪の遺産』

浅田次郎著 終戦直前の昭和二十年八月、近衛師団所属のエリート将校「真柴少佐」は、陸軍首脳よりある特命を帯びる。「戦後復興資金とするため、マッカーサーから奪った財宝を隠匿せよ」この特命に関わった人々の数奇な運命を描く。 流石ベストセラー作家浅…

書きも書いたり四千五百文字『百年法』

山田宗樹著 生存制限法 (通称:百年法) 不老化処置を受けた国民は処置後百年を以て生存権をはじめとする基本的人権はこれを全て放棄しなければならない 人類積年の宿願、不老不死が実現した近未来。人が“死なない”、“老いない”ことによって起きる様々な社会…

信玄公にこそ読んでいただきたい『武田家滅亡』

伊東潤著 本文二段書きの四百項超ッ大長編です。 内容はまあ、題名の通り。っつーわけで、戦国興味無い人ゴメンちゃい。長篠でボコられた後、継室桂(かつら)の輿入れから、天目山で勝頼が自害(討死)するまで。 天正五年(1577年)~天正十年(1582年)までの…

活字最恐『ぼっけえ、きょうてえ』

岩井志麻子著 「ぼっけえ、きょうてえ」とは、岡山地方の方言で「とても、怖い」の意。 毎度ながらYouTubeをダラ見しっとたら、この映画のトレーラーに流れ着きまして。もう、直リンも憚られる程の強烈さ。流石、試写会でゲロ袋を配る鬼才、三池崇史監督。、…

My Favorite heroine『夜は短し歩けよ乙女』

森見登美彦著 「何て可愛らしい人なんだ!」 読者諸賢におかれましては、巷局所にておいて日々交わされている不毛なる議論、「三次元vs二次元」をご存知であろうか。要は、生身の女性とアニメ・漫画等のキャラクターではどちらが魅力的かという正直身も蓋も…

全てのドリーマーたちへ『バベル九朔』

万城目学著 作家デビューの夢を追いながら、祖父が残した雑居ビル「バベル」の管理人を務める主人公九朔満大(きゅうさく・みつひろ)。テナントが引き起こす様々な問題を日々処理しながら、渾身の大長編を執筆中だ。ある日「バベル」に全身黒ずくめの「カラ…

人生の落とし穴に、絶対ハマらない自信あります?『東京難民』

福澤徹三著 ごく平凡な大学生活を送っていた時枝修だが、些細な気の緩みと行き違いで大学を除籍処分になってしまう。それを切っ掛けに次々と転落していく境遇。このコンクリートジャングルに、難民として放り出された修の運命は?現代の格差社会を鋭く抉る青…