昭和の重力に魂を引かれた漢

小説の感想文、たまぁ~~に雑記

ハンバーガー超美味そう♪『ダイナー』

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平山夢明

 

凄腕の料理人と厳選された食材で評判のダイナー。

しかしそこは、、、客が全て殺し屋の店だった。

人生を転がり続け、遂にはダイナーで女給をすることになってしまったオオバカナコ。

皿の置き方一つで首が飛ぶ(解雇ではなく文字通り死ぬことになる!)この店で、彼女は生き延びることが出来るのか?

ネットで感想漁るに大絶賛ですね、凄ぇな。
俺はというと、歳のせいかねぇ、正直暴力描写がキツ過ぎて。
想像力豊かなもんで。
微に入り細を穿つ拷問描写、人を殺さず如何に長く苦しませるかということを得々と解説されるに至り、作品を越えて思いは巡る。
今作はフィクションとはいえ、世界を見渡すにあながち荒唐無稽な話でもないぞと。
独裁国家政治犯収容所、南米の犯罪組織のアジト、中東の戦場等々、認めたくありませんが勿論日本国内も例外とは言いがたい。
ネットでちょっと検索かけて数回もクリックすれば、目を覆いたくなるような残酷な画像や映像で溢れてます。
文明発生以来数千年、未だに人類は暴力の脅威を克服出来ていないのかと暗澹たる気持ちに、、、
って、全然本の感想じゃねえぇぇッ!!

えーっと、そうですね、料理が凄い。
こんだけグロ満載、血ドバドバなのに、ハンバーガー超美味そう♪
あの凄惨な描写の後の肉料理がこんなに美味そうなんて、平山先生の筆力恐るべしですよ。
ハンバーガーの他にも小洒落た料理が一杯出てきます。
これ「ダイナー」だから様になるんであって、やっぱ定食屋じゃ駄目なんだろうなと。
ボンベロが鯖の味噌煮作ってたら、あんま怖くねぇもんな。
そうそうリアリティというか、生活臭がバッサリカットされてます。
日本が舞台なんだけど、皆コードネームで呼び合っとるし。
出てくるキャラ全員が全員、バトル漫画顔負けの特濃軍団。
台詞も妙に仰々しいし、何となく全体の雰囲気もお伽噺のような感じ。
剥き出しの暴力をこれらのオブラートに包んで、読者が食べやすいように調理してくれてるんですね、平山シェフ。
あとがき曰く、
「ステーキにしゃぶしゃぶに寿司にカツ丼とハンバーグを載っけたような」
とありましたが、やっぱ俺的には少々胸焼け気味ですw

あと、今作ヒロイン大莫迦な子こと「オオバカナコ」の胆力にも触れなければなるまい。
普通の女の子が殺し屋だらけの環境に放り込まれたらどうなります?
女の子どころか大の男でも金玉縮み上がって何にも出来ないっつーの。
極限状態にありながら、殺し屋たちを向こうに回してあの駆け引きッいやぁ痺れたねぇ。
いつしかそんな彼女に周りも敬意を示し始めるっつーその後の展開はあるあるですけれども、素直にヒロインの胆力に脱帽。


続編連載中とか → また「究極の六倍」が食べられるかと思うと、、、
★★★☆☆