昭和の重力に魂を引かれた漢

小説の感想文、たまぁ~~に雑記

2020-06-01から1ヶ月間の記事一覧

ま・さ・に、リメンバー『ウェルカム トゥ パールハーバー』

西木正明著 日米開戦回避のため、アメリカに派遣された文書諜報のスペシャリスト「天城康介」と「江崎泰平」を軸に描かれる開戦秘話。 小説なので、当然史実を元にしたフィクションということになろうが、本当の歴史も恐らくこの様な流れなのではと思わせる…

島津義弘伝???『衝天の剣/回天の剣 島津義弘伝』

天野純希著 戦国最強は誰か?歴史ファンなら一度は、侃侃諤諤の激論を経験されてるかと思います。信玄か謙信か、それとも本多忠勝か、はたまた両兵衛か?戦場を支配する指揮能力なのか、単純に個人の武力か、戦そのものを方向付ける戦略戦術か?どの要素を重…

暗いと不平をいうよりもすすんで明かりをつけましょう『ニサッタ、ニサッタ』

乃南アサ著 新卒で入社した会社を些細な不満で退職、その次に就職した会社が不運にも倒産。 その後漫然と日々を過ごすうち、あっという間にネットカフェ難民にまで落ちてしまった「片貝耕平」 金なし、ヤル気無し、スキル無しの八方塞がりの状態から、這い上…

超ウルトラC本能寺『天主信長 我こそ天下なり』

上田秀人著 また本能寺かッ!そぉでぇす、また本能寺。ネタもフリもオチも全部知ってる話なのに面白い、そう!それが「本能寺の変」戦国興味ない人ゴメンナサイ、置いて行きますw もう尽きたろうと。パターンね、パターン。もう出尽くしたでしょ?あらゆる手…

拝啓 森見登美彦先生『恋文の技術』

森見登美彦著 作品いつも楽しく拝読致しております。本作『恋文の技術』も相変わらず森見ワールド全開、溢れ出る語彙の洪水が捏ね繰り回されている文章に、小生軽い酩酊状態でございます。文章に酔うとはこれ如何に? それにしても主人公「守田一郎」の駄目…

まさにVR登楼『吉原手引草』

松井今朝子著 困った時の歴史モノ。っつっても、毎度戦国・WWⅡの血生臭い系ばかりでは芸が無いというわけで、今回は遊郭モノ。 吉原№1花魁「葛城」謎の失踪事件。 全編関係者へのインタビュー、台詞のみ。状況描写皆無。いや~~江戸弁最高。もうね、チャ…

バリバリ面白いけど嫌いです『ジェノサイド』

高野和明著 流石 「2012年版このミステリーがすごい!1位」 薬学部の大学院生研人と戦場を渡り歩く傭兵イエーガー。 何の接点もない二人の運命がアフリカの大地で交錯するとき、既に人類を揺るがす恐るべき陰謀が蠢きだしていた、、、 面白い!ハリウッドばり…

経験者のみが語りえる圧倒的リアリティ『ペリリュー・沖縄戦記』

ユージン・B・スレッジ著 伊藤真/曽田和子訳 米ドラマ史上、最高額の制作費を投入した歴史大作『ザ・パシフィック』原作。 海兵隊員として太平洋戦線に従軍した著者が体験した、極限を超えた戦争の実態。 圧倒的リアリティ。 英雄礼賛でもなく、反戦でもな…

『告白』のトラウマリセット『物語のおわり』

湊かなえ著 湊先生、お久し振りですッ!! 何とッ『告白』以来、実に六年振り(←短文の感想なんで、ネタに困ったらアップします)。めちゃめちゃ面白かったのに、こんだけ期間が空くってことは、『告白』がどんだけ俺にトラウマ植え付けたかちゅーことですよw …

豊臣政権の大蔵大臣『天下を計る』

岩井三四二著 ハイッ「長束正家」知ってる人? 、、、、、、。 簡単に言うと、豊臣政権の大蔵大臣ですね。 いやぁ俺もまさか、長束正家主人公の小説読むことになるとは。 やっぱ地味だもんね。 どうも戦国武将は派手な戦上手ばっかが持て囃されてて、内政官…

令和二年最強開運日ッッッ

今日六月二十日は、年に数回しかない暦上最強の開運日「天赦日」と、これまた開運日の定番「一粒万倍日」が重なった今年最強の開運日なんですと。 万事に吉日なんですが、特に金運関係らしんで、早速宝くじを購入→そのままの勢いで財布を新調♪ 実は高級枕も…

最早戦争『地獄の犬たち』

深町秋生著 関東最大のヤクザ組織に潜り込んだ警視庁潜入捜査官の、苦悩と葛藤を描くバイオレンスアクション。 のっけから凄まじい暴力描写。 当ブログで暴力描写といえば、現状この二作。 ryodanchoo.hatenablog.com ryodanchoo.hatenablog.com上記二作の感…

血と硝煙と油の臭い漂う「ガールズ&パンツァー」『鋼鉄のワルキューレ ケーニヒスティーガーin WW2東部戦線』

水樹ケイ著 人類が経験した戦争の中で最も苛烈で凄惨な戦い、第二次世界大戦に於ける独ソ戦。ヒトラーとスターリンという絶対に相容れない独裁者同士が、酷寒の大地で繰り広げた殲滅戦。 間口激狭。例えば「サラバ!」なんかは、老若男女全ての人にお薦め出…

事実は小説よりも奇なり『天平グレート・ジャーニー─遣唐使・平群広成の数奇な冒険』

上野誠著 あらすじはですね、、、えぇーーっと、タイトル通りです。 戦国戦国戦国、たまぁ~~に幕末&WWⅡ 歴史小説は間違いなく一番好きなジャンルであるが、殆ど戦国時代に集中しているので、たまには違う時代もいいんじゃない?っつーことで、、、 時は奈…

月村先生、アクセスアップに御協力ありがとうございます『槐(エンジュ)』

月村了衛著 ※追記※ アクセス解析見るに、「月村了衛」のキーワード訪問が最多。 それではと二作目投入です。 振り込め詐欺の売上金が隠されたキャンプ場に訪れてしまった中学生たち。 半グレ集団の魔の手が生徒に伸びたその時、謎の闘士「槐(エンジュ)」が反…

朝、始業前に、職場で読むもんじゃない『恋しい女』

藤田宜永著 たまには恋愛モノでもと思ったら、、、か・な・り、官能的 こりゃ、朝、始業前に、職場で読むもんじゃないね。 プレイボーイの江田俊太郎。 今は、違うタイプ三人の女性と同時に付き合っている。 仕事も恋愛も悠々自適だったが、娘ほども歳の離れ…

コレ畳めんの?超特大風呂敷『ねじの回転』

恩田陸著 デカイ。デカ過ぎる。畳むどころか拡げるのも一苦労の、大風呂敷。 未来の国連によって執行される歴史の再確定作業。 それに付き合わされることになった「二・二六事件」の首謀者たち。 従来通りに歴史を確定させたい国連職員と、何としても昭和維…

“最高に後味の悪いハッピーエンド”『絶叫』

葉真中顕著 いろいろとあり過ぎまして、、、さて、何から語りましょうか、、、 う~~んとね、俺、乱読派なんですよ。 特定の作家やジャンルに拘らず、書架での一期一会に任せるっつーか。 作品の情報を殆ど仕入れず、タイトルと装丁を観て直感で決めるみた…

超変化球ゾンビもの『コンテクスト・オブ・ザ・デッド』

羽田圭介著 ゾンビもの。 の、体を借りた社会批判、文芸界の暴露話。 いやぁ~~これはね、問題作ですよハイ。 羽田先生二年ぶり(今作は2017年11月、「顔」は2015年09月に読了)。 ryodanchoo.hatenablog.com全く印象が違うんですけど、ホントに同じ作家さん…

老若男女全ての人にお薦めします『サラバ!』

西加奈子著 さぁ~~て、、、何から書きますか。何せ四ヶ月も前なんで、読み終わったの。っつーか、読了直後でもサクッとは感想書けないと思う。様々な感情が沸き起こり、混ざり合い、掴み所ない大きな雲の様。この気持ちを言語に変換して、皆様にお伝えする…

祝 映像化記念『太陽は動かない』

吉田修一著 次世代太陽光発電システムを巡る日中巨大企業の暗闘、その影に蠢く産業スパイ達。 迫真のリアリティで綴る荒唐無稽な娯楽小説?冷酷非情な浪花節?スタイリッシュなのかダサいのか?どないやねん?? 吉田先生とは初対決。スパイものっちゅーこと…

昭和史のもどかしさに悶えまくる『ロンドン狂瀾』

中路啓太著 「ロンドン海軍軍縮会議」がテーマ。中路先生、これまた渋いネタ引っ張ってきましたねぇ~~、えぇ~~と、説明面倒臭いんで(爆)初耳の方は検索願います。過去読了の戦国モノ二作にて(おいおいアップ予定)、既に中路先生の力量は充分に存じ上げて…

シリーズものは表紙にハッキリ明記していただきたいッ!『もののふの国』

天野純希著 鎌倉から幕末、武士の時代を描いたオムニバスかと思いきやそれだけに留まらず。文芸誌の創刊を記念して展開される「螺旋プロジェクト」の一環だとか。毎回言ってますが、シリーズものは表紙にハッキリ明記していただきたいッ!スタンドアローンと…

成上がりモノ初体験『骨の記憶』

楡周平著 集団就職で上京した東北の貧農出身の「一郎」 名家の跡取りで地元に残った「弘明」 東京と岩手で離ればなれになった親友同士は、絶対に口外できない“ある秘密”を共有していた、、、 成上がりモノ。転落モノはあんだけ読みまくってんのに、そういえ…

起、承、超転開、結『消滅 VANISHING POINT』

恩田陸著 大嵐で封鎖された空港。 何故か別室に隔離された男女十一人。 この中にテロリストが紛れ込んでるらしい? 疑心暗鬼の中、犯人捜しが始まる、、、 正直序盤はやや退屈です。核心に近づかないまま、ダラダラとどうでもいい話が続く。主要キャラが11人…

サクッと読了『太陽の村』

朱川湊人著 家族で行ったハワイ旅行の帰り、飛行機が墜落!主人公「坂木(さか“き”)龍馬は、九死に一生を得て海辺の村に漂着する。しかし何とそこは、鎌倉時代?の村だったッ!? 面白そう!と書架から取り出し、何か違うなぁと戻す。やっぱ借りよ→やめとこ。…

当ブログは、小田雅久仁先生を応援しています『増大派に告ぐ』

小田雅久仁著 本ブログ最大の問題作ッ!?小田作品再びッッ ryodanchoo.hatenablog.com 「雄雌」にも度肝抜かれたけど、デビュー作のコイツもマジで凄まじいね。 っつーか、二作目の「雄雌」でだいぶエンタメに振れたんですね。 アレはアレで相当ブッ飛んで…

時限爆弾持たされての読書『怒り』

吉田修一著 八王子で発生した夫婦惨殺事件。犯人が逃亡したまま一年が経過しようとしていた。東京で病気の母を気遣いながら真面目に働くゲイの青年、千葉でひたすら娘の幸せを願う漁協勤めの熟年男性、トラブルメーカーの母のせいで日本中を転々する女子高生…

昨今の価値観押し付け社会に捧ぐ『月は怒らない』

垣根涼介著 市役所の戸籍係に勤める地味な女「恭子」 美人でもない彼女に、今日も何故か男が寄ってくる。 謎の女と性格も年齢もバラバラの男三人。 奇妙な四角関係の行方は? 俺なりの解釈で簡単に纏めると、「人は他人の人生は生きられない。しかし解り合う…

満点五ツ星『誇り高き日本人』

泉三郎著 「国の運命を背負った岩倉使節団の物語」 明治4年11月、岩倉具視が率いる明治政府の使節団が先進の西洋文明を学ぶため、横浜港から旅立った。 ヤングは知らんだろうが昔五百円札というのがあってだな。 そこでしかめっ面をしておったのが、今回の主…