昭和の重力に魂を引かれた漢

小説の感想文、たまぁ~~に雑記

第二次世界大戦

北極海で燃え上がる、日独熱い男たちの友情『氷海のウラヌス』

赤城毅著 帯の 面白い。あまりに面白すぎる! は、流石に煽り過ぎ。でも面白いのは確か。開戦直前の国際情勢と、多少の軍事知識は要求されるが。間口やや狭。軍オタ以外スルーかね~勿体無ぇな。 1941年 昭和16年晩秋。北極海を西進する独仮装巡洋艦ウラヌス…

最高のカタルシス『鋼鉄の叫び』

鈴木光司著 「リング」シリーズ読んで以来、実に十数年振りッの鈴木先生と再戦。こうやって、感想文綴るようになる遥か昔、恐らく人生で初めて読んだ小説ではなかったろうか。いやぁ~お久し振りです。 テレビ局のプロデューサー雪島忠信は、特攻隊を題材に…

パイロットではなく整備兵視点の特攻『翼に息吹を』

熊谷達也著 「特攻」 この言葉を噛み締めるとき、俺も日本人ある以上、相反する様々な思いが駆け巡る。 驚愕、同情、憐憫、尊敬、感謝、恐怖、嫌悪、、、 究極の自己犠牲の美しさと、人間の命を機械の部品のように使い捨てた醜悪さが同居しつつ迫り来て、戦…

超骨太『神の国に殉ず 小説 東条英機と米内光政』

阿部牧郎著 書架に鎮座まします圧倒的存在感。上下巻合わせ九百項超、俄を寄せ付けない超骨太な内容。今まで躊躇うには充分過ぎる手強さ。加えて、東条英機という極めてデリケートな素材。歴史を扱った小説、特に近代史モノで、保守/リベラル問わず著者の思…

ド長文Ⅱ『太平洋の試練 ガダルカナルからサイパン陥落まで』

イアン・トール著 村上和久訳 著者入魂の太平洋海戦録三部作第二弾。 ryodanchoo.hatenablog.com 今回は半年の消耗戦で日本が継戦能力を殺がれた「ガダルカナルの戦い」から、その敗北により太平洋戦争での敗戦がほぼ確定した「マリアナ沖海戦」まで。 充分…

ま・さ・に、リメンバー『ウェルカム トゥ パールハーバー』

西木正明著 日米開戦回避のため、アメリカに派遣された文書諜報のスペシャリスト「天城康介」と「江崎泰平」を軸に描かれる開戦秘話。 小説なので、当然史実を元にしたフィクションということになろうが、本当の歴史も恐らくこの様な流れなのではと思わせる…

経験者のみが語りえる圧倒的リアリティ『ペリリュー・沖縄戦記』

ユージン・B・スレッジ著 伊藤真/曽田和子訳 米ドラマ史上、最高額の制作費を投入した歴史大作『ザ・パシフィック』原作。 海兵隊員として太平洋戦線に従軍した著者が体験した、極限を超えた戦争の実態。 圧倒的リアリティ。 英雄礼賛でもなく、反戦でもな…

血と硝煙と油の臭い漂う「ガールズ&パンツァー」『鋼鉄のワルキューレ ケーニヒスティーガーin WW2東部戦線』

水樹ケイ著 人類が経験した戦争の中で最も苛烈で凄惨な戦い、第二次世界大戦に於ける独ソ戦。ヒトラーとスターリンという絶対に相容れない独裁者同士が、酷寒の大地で繰り広げた殲滅戦。 間口激狭。例えば「サラバ!」なんかは、老若男女全ての人にお薦め出…

大著『第二次世界大戦 影の主役―勝利を実現した革新者たち』

ポール・ケネディ著/伏見威蕃訳 膨大な情報量と緻密な分析に圧倒される。二次大戦における連合軍の勝因といえば、「圧倒的物量」・「先進の科学技術力」・「情報戦での大勝」などが真っ先に思い浮かぶが、本書ではさらに突っ込んで、最終的な勝利へ向け何が…

ド長文『太平洋の試練 真珠湾からミッドウェイまで』

イアン・トール著 村上和久訳 著者入魂の太平洋海戦録三部作第一弾。書店で平積みされているときから気には留めていたのだが、中々読む機会に恵まれず後回しにするうち、二作目の「ガダルカナルからサイパン陥落まで」が刊行されるに至り、 ryodanchoo.haten…

まんまドラマ『戦場のコックたち』

深緑野分著 「バンド・オブ・ブラザース」そのまんまッ!! どちらも「米陸軍第101空挺師団 」を題材に採っているので当然と言えば当然なのだが、それでもカブり過ぎ。ノルマンディー~マーケットガーデン~バルジ~ユダヤ人強制収容所の解放と、読書中もBOB…

ラスト号泣『日輪の遺産』

浅田次郎著 終戦直前の昭和二十年八月、近衛師団所属のエリート将校「真柴少佐」は、陸軍首脳よりある特命を帯びる。「戦後復興資金とするため、マッカーサーから奪った財宝を隠匿せよ」この特命に関わった人々の数奇な運命を描く。 流石ベストセラー作家浅…

ブッ飛んでます『山本五十六の大罪』 

中川八洋著 題名からいわゆる敗因分析本、山本の戦略戦術の失策を列挙し、それを検証する内容だと察した。今回は既知の事柄を再確認するだけの読書になると甘く構えていたのだが、これがとんでもない爆弾本であった。 本書の軸は、日米対立の影にソ連の暗躍…