昭和の重力に魂を引かれた漢

小説の感想文、たまぁ~~に雑記

暗いと不平をいうよりもすすんで明かりをつけましょう『ニサッタ、ニサッタ』

f:id:ryodanchoo:20200628111331j:plain

乃南アサ

 

新卒で入社した会社を些細な不満で退職、その次に就職した会社が不運にも倒産。

その後漫然と日々を過ごすうち、あっという間にネットカフェ難民にまで落ちてしまった「片貝耕平」

金なし、ヤル気無し、スキル無しの八方塞がりの状態から、這い上がることができるのか?

 

乃南先生と初対決、取り敢えず俺の好物「転落モノ」でお手並み拝見。

、、、、、、、。

正直前半ヤバかったス。
読み進めるのが苦痛、話がつまんないとかじゃなくて、主人公「片貝耕平」のクズっぷりに心底うんざり。
三百冊近く小説読んできましたけど、過去トップクラスのクズ、キングオブクズ。
主人公としての物語牽引力ゼロ、俺ムカつきっぱなし。

いやね例えば、主人公が腐れ外道だとしたら、その悪逆非道振りに対しての嫌悪を読書牽引力に変換すればいいし、無能のドジっ子でも一生懸命頑張ってるんなら、応援する気持ちで読み進められるんですが、クズは無理クズはキツい。
状況を改善する努力をしないくせに、口を開けば不平不満と言い訳と責任転嫁ばかり。
俺が悪いんじゃない、アイツが会社が世間が悪い。
こんな奴に物語りを引っ張る魅力があるはずもなし。
読書放棄寸前まで追い詰められるも、、、

あらすじはあらかじめ読んでたんで。
>「明日」をもう一度取り返すまでの物語。
事態が好転するってのは判ってたんで、もうちょっとの我慢と無理矢理読み進めた次第。
クズ全開の前半を何とか乗り切って、中盤ヒロイン「杏菜」の登場でムムッと。
耕平には勿論、俺にとっても救世主。
彼女出てこなかったらホントにヤバかったわ。

中東の戦場でもない。アフリカの最貧国でもない。
戦火に怯えることもなければ飢えることもない。
現代日本に五体満足で生まれながら、不幸を喚き散らしてる人いますよね。
何も今の日本がユートピアだなんて言うつもりは毛頭ありません。
様々な問題が山積してるし、嫌いなところも沢山あります。
でもね、絶望するような国じゃないことは確か。
努力すべき時とポイントさえ間違わなければ、必ず報われる社会だと思います。
本人の努力だけじゃどうしようもない要素、親の素養や育った環境、生まれついての容姿に才能、健康度や運の良さなど様々あれど、結局のところ完全なる平等なんて無理。
じゃあ、配られたカードで勝負するしかないじゃないですか。
っつーか、日本に生まれついたって時点で初手でツーペア揃ってるようなもんでしょ。
後は本人次第、自己責任って言葉、ネガティブに捉えられがちですが、自分の人生をどう生きるか選ぶ権利ってことでもあると思います。
勿論最終的なセーフティーネットは張っておくべきですが、基本人生は自己責任です。

今まで読んできた転落モノって、落ちに落ちて、最後に逆転みたいなV字タイプばっかだったんですが、今作は落ちては上がり落ちては上がりの浮き沈みが激しいWタイプ。
単純なことですけど、これが結構新鮮。
いろんな職業の職場ウンチクも転落モノの醍醐味なんですが、今回は新聞配達。
まさにブラックといいますか、何かもーホントどうなの?って思います。
日本って、物言わず黙々と頑張ってる人に冷たいですよね。
あれッ!?さっきと言ってることが矛盾してますけど。
そーなんです、基本良い国なんですが、罠が巧妙に偽装されてるっつーか。
文句を言わず我慢するってのは、意地悪な言い方すれば、現状を改善する努力を怠ってるという側面もあるわけで。
我慢してる人に甘える、もっと言えばつけ込んでくる輩がいる以上、やはり言う時は言わなきゃいけない。
でもなぁ~、努力してないくせに文句ばっか言う奴の声がデカ過ぎて、我慢してる人がやっとの思いで声を上げても世間に届きにくいって現状あんだよなぁ~
、、、って、また全然本の感想じゃないじゃん(哀)


北海道もいいけど、俺は東京好きだぜ
★★★☆☆