昭和の重力に魂を引かれた漢

小説の感想文、たまぁ~~に雑記

月村先生、アクセスアップに御協力ありがとうございます『槐(エンジュ)』

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月村了衛

 

※追記※

アクセス解析見るに、「月村了衛」のキーワード訪問が最多。

それではと二作目投入です。

 

振り込め詐欺の売上金が隠されたキャンプ場に訪れてしまった中学生たち。

半グレ集団の魔の手が生徒に伸びたその時、謎の闘士「槐(エンジュ)」が反撃を開始するッ!

 

『土漠の花』以来ですね、月村先生。

ryodanchoo.hatenablog.com今回もまぁ~映画映画。
サクサクとあっという間に読了。そしてベタ。
そして、月村先生のベタと俺は相性良いらしい。

出だしからキャラクター大量登場で多少戸惑うが、全員キャラ付けがハッキリしているので混同することはない。
それぞれ見せ場もカッチリ用意してあって素晴らしい。何と捨てキャラ無!
で、さっきも言ったけどべッタべタ。

正義感の強い主人公、キャンプ場を襲う半グレ集団の腐れ外道振り、そして外道共を次々と屠る謎の闘士「槐」ッ!
かなりグロテスクな残虐描写連発だが、何せやられてんのが外道中外道のド悪党なんで、読者は後ろめたさを感じることなく、痛快な気分で読み進められるんじゃないでしょうか。

野外活動部恒例の夏合宿で、北関東の某キャンプ場を訪れた主人公たち。
そこで半グレ集団の抗争に巻き込まれることになるのだが、この野外活動部の面々が実に良い。
実は、俺も野外活動部だったのよ中学のとき!もうね、親近感倍増w
う~~ん、ネタバレ回避しつつ説明すんの難しいな。
要は、普通の中学生と引率の教師が、いかに理不尽な暴力に対抗するかっつーね。
シャブをキメ込み銃をブッ放すような輩相手に、無力な者たちは如何に対するか?
それは、、、

勇気と知恵ですッ!

その創意工夫と恐怖を克服する姿に感動ッ!勿論、「槐」の助けを借りつつですけど。
じゃあ一つ軽く、、、ネタバレになっちゃうけど、一人さぁ不良が参加させられてんのよ、この夏合宿に。
大自然の中で集団行動を通し、今までの行いを反省しなさいみたいな。
当然嫌々ながらダラダラと参加して、この惨事に遭遇と。
携帯の電波が届かない中、隣の集落までバイクで助けを呼びに行くという作戦を「槐」が立案、彼が志願するわけよ。
「皆を助けたい、バイクなら不良の俺に任せろ」と、今の今まで不貞腐れてた中坊が、今まさに男/漢になる瞬間ですよ。
カッケえぇぇッ!!
こーゆーベタがもう随所随所に。いやぁ~~月村先生、俺の大好物解ってらっしゃる。

中坊の勇気と知恵に感心するだけじゃないよ。
柔道と中国拳法の異種格闘技戦寸勁炸裂に手に汗握り、日本赤軍と公安の暗闘に唸る。
兎に角、全編エンタメ全開フルスロットルッ!一気読み必至。

意地悪く一つ論うなら、「槐」強過ぎ。
先に述べた通り、弱き者が勇気と知恵を振り絞って暴力に立ち向かう姿に感動しとるわけで。
「勇気」とは「怖さ」を知ることッ!「恐怖」を我が物とすることじゃあッ!
by ウィル・A・ツェペリ
やっぱこれでしょ、ね。

謎の闘士「槐」にはそれが皆無、容赦なく悪・即・斬でサクサク殺っちゃいます。
俺もハッキリ言って、暴力の行使を躊躇わない連中に、平和主義は無力だと思ってるんで。大いに溜飲は下がりつつも、ホントにそれだけか?それだけでいいのか?と。
憎しみと暴力を乗り越えた先にあるものは、、、っつーね。
ラスト、良い締めだと思いますよ、ベタだけど。
この殺人マシーンのようなキャラが、件の愛すべき中坊たちとの触れ合いによって、次第と人間味を増していくのも今作の見所といえば見所かも。
と、色々書いてますが、小難しいこたぁいいから面白いモン読みたいっつー人にマジお薦めです。


こりゃ続編あるなw
★★★★☆