昭和の重力に魂を引かれた漢

小説の感想文、たまぁ~~に雑記

バリバリ面白いけど嫌いです『ジェノサイド』

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高野和明

 

流石 「2012年版このミステリーがすごい!1位」

薬学部の大学院生研人と戦場を渡り歩く傭兵イエーガー

何の接点もない二人の運命がアフリカの大地で交錯するとき、既に人類を揺るがす恐るべき陰謀が蠢きだしていた、、、

 

面白い!
ハリウッドばりのド派手なアクション、スパイもの顔負けの諜報・心理戦、知的好奇心をくすぐる科学うんちくテンコ盛り、全世界を股に掛ける圧倒的スケール感。
まさに極上のエンターテイメント作品。

その、、、極上の、、、エンタメ作品に、、、何で、、、無理矢理に、強引に、唐突に、思想信条捩じ込んでくるかなあぁぁーー
ねぇ何で???

反権力、反政府、反米、反戦、大いに結構。
>現生人類は、誕生から二十万年を費やしても殺し合いを止められなかった哀れな知的生物だ。
>歴史学だけは学ぶな。支配欲に取り憑かれた愚か者による殺戮を、英雄譚にすり替えて美化するからな
御高説つくづく御尤も。
だけど何だろうね、このどうしようもなく鼻に付く感じは。

体制側が絶対悪、それに抗う少数派・弱者は常に善みたいな極端な二元化ってどーなの?
そんなに単純に割り切れるもんか?
ましてや、「アメリカの世界戦略」や「歴史認識」は、様々な解釈があり、多種多様な考え方があって、今現在も各方面から検証が続けられてる問題でしょ。
それを、一側面からの意見だけを殊更に採り上げて、一方的に押し付けてくるとはどーゆー了見ですか?
作中偏見や差別を戒めておきながら、自分と違う考えの人々を乱暴にステレオタイプ化し、ネオコンだの似非右翼だのと陳腐なレッテル貼りをする様は、意図的な悪意と侮蔑を感じます。

道徳的高地から無知な読者を啓蒙してやろうかと言わんばかりのその傲岸不遜なる筆致ッ はっきり申し上げて非常に不愉快ですッッ

じゃあ、読まなければいいじゃんって話なんですが、、、
これがさぁ~~やっぱり面白いのよ♪
メチャメチャ美味いけど接客態度最悪の店、ムカつくけどまた食べに行っちゃう、、、みたいな感じ?
いや~~惜しいねぇ~~

 前回の読書が公正中立な真実の記録だったんでね、

ryodanchoo.hatenablog.com

うん、余計に引っ掛かっちゃったみたい。
本書の感想で貴方が、どーゆー考え方の持ち主か大体解ると思うぜ。
読んでみればいいじゃない、面白さは保証します。


珍しく amazon の感想と一致
★★★☆☆