祝 映像化記念『太陽は動かない』
吉田修一著
次世代太陽光発電システムを巡る日中巨大企業の暗闘、その影に蠢く産業スパイ達。
迫真のリアリティで綴る荒唐無稽な娯楽小説?
冷酷非情な浪花節?
スタイリッシュなのかダサいのか?
どないやねん??
吉田先生とは初対決。スパイものっちゅーことで、今までと作風を変えてきたことに一抹の不安を覚えたのだが、、、
俺は古いタイプの人間なんで。
良きにつけ悪しきにつけ、「日本人」というアイデンティティに雁字搦めなわけですよ。
主要キャラ全員アナーキストなんだもん。
いかに自分の信念を貫こうが、仲間を命懸けで守ろうが、「日本がどうなろうと知ったこっちゃない」ちゅー輩には、絶対に感情移入出来ません。
脇のウイグル人テロリストや、若手国会議員の方が遥かに魅力的。
ちゅーわけで、俺の好きそうな題材のわりにイマイチ。
CIAとかKGBみたいな国家の諜報機関じゃなくて、産業スパイってのがミソ。
ここいらへんのリアリティが将に微妙。
主人公鷹野が所属する謎の組織「AN通信」
国家の支援を得てない民間の組織が、ここまで情報の中枢に入り込めるか?
既存の化石燃料がゴミになる程の究極の太陽光発電だぜ?
産業スパイだけじゃ手に余るだろ。
日中韓の企業が小競合ってるだけっつーのも、、、
あのボスキャラが黙ってるわけねぇじゃん。
勿論チラッとカンでくるけど、そんなもんじゃないでしょう。
金金金、利益追求命のドライな中盤までは読むのが億劫だったが、いつのまにか熱い展開になってくる後半はちょっと燃えた。
裏切り防止用の体内爆弾とか、無関係の人間ボコって身代わりに立てるとか、いくら産業スパイとはいえやり過ぎだろッ!って憤りながら読んでたんで→フィクションっだっつーのw
何事も無かったように!続編もありそうな感じで爽やかに終了。
う~~ん。
ストーリー、キャラクター、リアリティ、総てが中途半端。
ゴメンナサイ、あくまで主観です。
映像化向き
★★☆☆☆