昭和の重力に魂を引かれた漢

小説の感想文、たまぁ~~に雑記

圧倒的異次元の読書体験『プロローグ』

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円城塔

 

まだあるか。
いやもう無いと思ってたけど、まだあるか。
俺も三百冊近く小説を読んできて、大凡話の進行パターンは既に経験済みだと。
スイマセン自惚れてました。
まさか、こんな作品がまだあるとはッ!!

何じゃコリャ!?こんなの今まで読んだことない→圧倒的異次元の読書体験。
さて、ブッ飛んだ作品のとき必ず引用する小田先生。三年半前も同じ様なこと書いてんのねw

(『プロローグ』の感想文が2018年05月、「雄雌」の方は2014年11月に書かれたものです)

さて、アレよりさらにブッ飛んでます。
ブッ飛んでたとはいえ、小田作品は確かに小説でした。
起承転結で話が進んでいく小説でした。
翻って今作「プロローグ」、、、何じゃコリャ!?
取り敢えずジャンルはSFですよね?
う~~~ん。
人工知能に小説を書かせるため、プログラムがそれぞれ冒険する話??
合ってます?円城先生?
いや、ハッキリ言って、俺何にも解ってねぇっス。
話の内容は勿論、文章も超難解でして。
コンピュータの専門用語てんこ盛りに加え、文学や美術、歴史に関する教養もガンガン読者に要求してきます。
たまにねじ込まれるガンダムネタが、大海に浮かぶ一点の小島のよう。
見てよ、難読漢字&不明単語メモが三枚ッ!

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あまりに多過ぎるコンピュータ関連省いて三枚だぜ。意味と読み方調べるだけでも一時間もかかったわ。

「揺動散逸定理」なんて聞いたことあります???

俺の人生で「揺動散逸定理」をタイピングすんの、マジでこれが最後だと思う。


キャラ(プログラム?)に漢字を覚えさせるっつー件で、漢文の「千字文」いきなり貼り付けたりしてくるかんね。
千字文」って御存知?
っつーか、俺も今作で初めて知ったんですけど。と、こんな風に随所で読者の知的レベルも試されます。
まあ説明すんの面倒いんで、検索して下さいw
ページ一面、漢字漢字漢字、漢字の洪水。

全編こんな感じ。
場面場面で難解な会話が展開され、それが順不同に並んでるみたいな。
正直どのエピソードから読んでも殆ど問題ないような、、、何なら最後からでも!
ハッキリ言って面白い/面白くないで分けたら、面白くないです。
訳わかんない会話に必死で付いて行こうとメモに大忙しのあまり、読書スピード激遅。
因みに平均の読書速度が毎時約60ページなのに対し、今作は何と33ペ-ジと半分に。
突っ掛かり引っ掛かり、嗚呼ダリぃとメモりながら読んだ次第。
しかしそれでも、途中で投げ出そうとは微塵も思いませなんだ。
超難解で読みづらいけど、何か凄ぇ作品っだってのはビンビン伝わってきたもんで。

俺の拙い表現力では殆ど伝えられなくて申し訳ありませんが、兎に角凄い作品ってことです。あんま面白くねぇけどw
何つーか、神(超高次元の存在?)による世界の創造って、多分こんな感じなのでは。
俺たちのこの世界も、誰かに創られたものだとしたら、、、
そしてその超高次元の存在は、作中キャラと同じく全知全能の神というわけではなく、あらゆるバグやトラブルの処理に追われている状態なのではないか?
この世の不合理、不条理はまさしくそのバグなのではないか?
、、、みたいなね。
本編の話とは全く別次元で、妄想が膨らむ違和感と高揚感。
相変わらず感想になってませんけど。
どうでしょう?「プロローグ」の凄さが、ほんのちょっとでも伝わってたら幸いです。

円城先生の華麗なる受賞歴にビックリ。
日本の文芸界もなかなかに懐が深い。
っつーか、小田先生も負けてねぇと思うけどなぁ~~


オンリーワンが四つになってしまった
★★★☆☆